2019/07/01 03:24


201933日。多くの人に惜しまれながら、Egw Eimi(エゴエイミー)は解散した。
大阪から東京まで、解散ライブを見に行った。泣いた。音楽であれだけ泣いたのは初めてだった。

ともかく、これでミニアルバム「それでも何かを」は、Egw Eimiの最後のCDになってしまったわけだ。
解散しちゃったバンドのCDをレビューして意味があるのかな、という内なるツッコミは置いておいて、CDはまだ残っているんだよね。最後の1枚までしっかり売れて、少しでも多くの人に聴いてほしいなぁ。名盤なんだ。

1曲目「はっぴーえんど」 
 
Egw Eimiの後期の代表曲。
シューゲイザー。朝もやのように美しく重なりながら漂う演奏。
翳のある囁くような歌声は、中盤から一気に展開し、叫びにも似たエモーショナルなハイトーンボイスになっていく。

Egw Eimi
の魅力の詰まった名曲。
しかし、これが全てではない。
とにかく音楽性の幅が広いのだ。

2曲目「splash」は弾けるようなポップ感があるし、3曲目「嫉妬」は内省的でドロドロに心をえぐられる。
4曲目「4/18」は、初めてライブで聴いた時は高校生が歌ってるのかと思うほどにあどけない印象を受けた。
5曲目「それでも」は、水面をたゆたうようでありながら、力強さも感じるバラード。

このCD1枚を聴いただけでも、音楽の引き出しの多さに驚かされる。

一方で全曲に共通するものもある。
歌詞から漂う、劣等感、焦燥感、悲壮感、自虐感。明るい詞がほとんどないのよ。

「嫉妬」は言わずもがな、「はっぴーえんど」も単純なハッピーではなく、ただならぬ覚悟を感じる1曲。あどけないと思っていた「4/18」も、歌詞を開けばネガティブ人間の歌であった。

『壊した光。私にはもう闇しかない』(「それでも」より)

マジか。まるで光が見えないじゃないか。
それなのにね。不思議とマイナスな印象を受けないんだなぁ。

vo.
西塚ちえさんのツイート
「私は君の背中を押してあげられない。ただただ前向きな歌は歌えない。落ち込んでいる君と共に落ちて、落ちて、ズブズブな関係になりたい。私は君を肯定するよ。」
(よっぱらいほやじのオブジェに抱きついてる写真を添えて笑)

Egw Eimi
の曲には優しさがある。それこそが全曲に共通する点だと思う。
「それでも何かを」の5曲だけではなく、全ての曲に不器用な愛が込められてる。

だから後ろ向きな歌詞でも歌に希望がある。希望に満ち溢れている。いや、ごめん、満ちてはない。
無理に手を引っ張っていくのではなく、立ち上がるまで(立ち上がれなくても)、ずっと待っていてくれるような、そんな気がするのだ。

 :

Egw Eimi
解散後、現在はvo.西塚ちえさんと、key.シノハラノブアキさんでユニット「ニンゲンハトベナイ」を結成して、(まだ精力的ではないですが)活動を再開しています。
先日東京までライブを見に行きました。

翳のある歌声やシューゲイザーサウンドは健在。歌声は神々しく、より表現力に磨きをかけているように感じました。

『過去のページはため息で飛ばして、君は自由だそれでいい。』(「splash」より)

Egw Eimi
ではなくなってしまったのは寂しいけど、このままのユニットか、あるいは新バンドを結成するのか、分からないけど、いつかきっと我々の前で精力的にライブをする姿をまた見せてくれるんじゃないかな。そんなふうに確信しています。

その新ユニットの0枚目のミニアルバムとして、「それでも何かを」は如何でしょうか。なんて。




【このレビューを書いた人】

広島県出身大阪在住。ただのシステムエンジニア。2000年代に色々ライブを見に行ったりしていたが、その後10年以上ミナミホイール以外のライブに行かなくなる。2019年に突如ライブ熱復活。

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