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ゆうさり / ほとり
¥1,500
【収録曲】 1. 百日 2. 朝の清冽 3. 揺り籠 4. みなし児とはこぶね 5. 輪 6. ほとり 【MV】 朝の清冽→https://youtu.be/I3aCdgQWeF8?si=6kaNvsFRPf2QuExA 揺り籠→https://youtu.be/OKtLWUzVdjk?si=5KFd1j1CUdEvCdjJ 【発売】 2024年9月 riko niikawaによるソロプロジェクト、ゆうさりによる6曲入りミニアルバム!! 聴き始めたらざわざわっとした気分になって、解いたらいけないような気がする自分の周りのものまで剥がされて、ちょっとずつ何もなくなって、アルバムを聴き終えた直後の無音がすごく心地良くなる、そんな音源。一切何も持たずにやらずに、目を閉じてこのアルバムに全ての身体を預ける時間を作ってみて欲しいな〜〜、と個人的に思ってます。 弾き語り音源というよりは総合演出音楽みたいなイメージ。必要な場面でビートを、アンビエントを、ギターを入れ、「この曲のこの場所に本当に必要な音は何なのか」とめちゃくちゃ丁寧に考えて作り込まれた軌跡を感じます。曲の瞬間瞬間にこだわり、ループや規則性をできる限りまでなくしたからこそ生まれる、自然体に1番近いような音楽。 曲の流れも本当に綺麗です。MVになってる2曲目の「朝の清冽」や3曲目の「揺り籠」も、単体で聴いた感覚とアルバムの流れで聴いた感覚は全然違います。MVで見ると「すごい良い曲!」って感じだけど、アルバムの中だと「大いなる流れの一部」みたいな。過ぎ去るような流れというより、乗せて運んでくれる流れ。 アルバムの中でのアクセントになる曲は、5曲目の「輪」なのかな、と思います。グンと曲が大きく広がる瞬間があるのですが、叩き起こされるというよりはその真逆で、より深いところに突き落とされるような感覚。 詩は断片的で、正直なところ「この曲はこういうことを言っている」というところまでくっきり理解するのは難しくて、ただ、散らばった言葉に曲タイトルからぼんやりと連想しながら耳を傾けるのが気持ちいいな、と思います。 「ほとり、畔、辺り。境目、きわ、水辺、"あらゆるほとりによせて"」と作者のrikoさんが書いてました。僕はなんとなく、最初、最後、廻る、みたいなぼんやりとしたイメージで聴いたかな、と思います。寂しいようで寂しくならない、なんとなく視界が開けるような、すごく良いアルバムです。
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デスゲイズマツイシ / この人を見よ
¥1,000
【収録曲】 1. 100mLのアグラ 2. EIKOの架け橋 3. 壁ドン、肩ズン、顎クイ 4. GO 5. 出家'na Baby 6. Tell you the Truth 7. 浅田物語 8. マチのホットステーツョン 9. 君の名は 10. secret track1 11. secret track2 【MV】 壁ドン、肩ズン、顎クイ→https://youtu.be/wuLI5SGssTU?si=TCjrZemBzuiyFYqe 奈良を拠点に活動する北京パンクアーティスト、デスゲイズマツイシの2ndアルバム!! 1曲目「100mLのアグラ」 松居一代の悲痛な叫びの断片の中から、船越英一郎に対する怒りそのものも一緒に切り取り出し、北京パンクアレンジで炸裂させた一曲。本家よりもオカアチャンに何を伝えたかったのかが伝わりやすくなっているように感じる。 2曲目「EIKOの架け橋」 狩野英孝が芸人として成功し、ミュージシャンとして成功し、未成年と性行したという一曲。"成功"という言葉を多用することにより、狩野英孝の"失敗"をより強く認識させるという、啓発としての意義が強い北京パンク。アウトロの"ラーメンつけ麺ぼくイケメン でもお前が出したのただのザーメン"という一節は、ザーメンなどではなくもっと自分自身をさらけ出せよ、という熱い思いがこもっているように感じる。 3曲目「壁ドン、肩ズン、顎クイ」 モテない少年の熱い衝動を描いた、青春パンクを思わせる北京パンク曲。妄想だけでは飽き足らず、好きな女の子の写真に壁ドンを試してみたら、溢れ出るリビドーにより壁を破壊してしまう。壁ドンを諦めて写真の女の子に肩ズンをしようとしたら、今度はずんどう屋のラーメンを思い出してしまうという無邪気な一面も描きつつ、最後には少年が突如妊娠をして子供を産んでしまうという物語。「元気な双子の赤ちゃんです」という、リスナーに続きを想像させる最後の一説。壁ドンで壊した壁は、人間として壊してはいけない壁を壊してしまったという暗喩。そして"双子"は錯乱した少年が二重人格になったことを想起させる。この曲は生まれた瞬間と壊れた瞬間を同時に描き、生命の意義を問うかのような、壮大で秀逸な物語。 4曲目「GO」 ポケモンGOと551の豚まんをかけ、ポケモンGOがスマホに対応している少年と対応していない少年の格差を音楽で表現し、現代の日本の格差社会を風刺した楽曲。曲の途中で「剛力彩芽がいない時」という一説の後、ポケモンGOの少年の時と同様に泣き声が入る。これはおそらく、日本でも有数のお金持ちである前澤社長も、奥さんがいないと泣いてしまう、つまりお金だけでは幸せが買えないということを伝えている。そしてこの曲のラストは「号泣会計やる時」「号泣会計やらない時」という謎の2択をリスナーに迫り、どちらでも同じ泣き声をあげて曲を締め括る。少年も泣く、前澤社長も泣く、あなたも泣く、つまり人間に格差はないのだ。そんな強い思いをぶつける社会派の北京パンク。 5曲目「出家'na Baby」 レッドアイズブラックドラゴン、ブルーアイズホワイトドラゴン、サウザンドアイズビューティフルガールという3対の生物を叫んだ後、「出家'na Baby」と叫ぶ、という北京パンク。これは僕が遊戯王を見ていないせいでなんのことかさっぱり分からなかった。説明しすぎず、リスナーの知識をストレートに試す。ここに北京パンクの奥ゆかしさを感じた。 6曲目「Tell you the Truth」 トランプ大統領の陽気な挨拶から曲は始まるが、そのすぐ後にトランプ大統領がツイッターに張り付いている描写がある。そして、まるで自作自演かのように自分のツイートを「いいね!」「リツイート!」と叫びまくる。最後には「オバマが羨ましい」「俺のツイッターをフォローしてくれ!」と叫ぶ、という北京パンク。この楽曲は一見、トランプ大統領にも普通の人間と同じような承認欲求がある、ということを描いたように見えるが、実際のところはその真逆。トランプ大統領にはSNSを悠々と見るほどの余裕がある、つまりこのトランプ大統領の発言は、大統領としての格の違いを見せつけるかのような皮肉である。Tell you the Truth、真実を話す。真実とは、世界とは、ディープステートとは。リスナーに気づきを与えるような一曲。 7曲目「浅田物語」 まるで純文学かのようなタイトルのこの楽曲。期待通り、この曲は「真央は激怒した」という一説から始まる。しかしすぐに景色はポケモンのゲームの中へ移行してしまう。浅田真央はシオンタウンでふしぎなあめ増殖バグを使用し、自分のレベルを違法に上げ、とってつけたような最終奥義を会得する。純文学とゲームとの対比、浅田真央のひたむきなイメージと真逆の行動、このコントラストこそがこの楽曲に巧妙に仕掛けられた北京パンク的ギミック。会得した最終奥義の内容は、分身してトリプルアクセルをする、というもの。そしてその奥義で試合に優勝し、浅田真央は浅田魔王になってこの楽曲は終わりを迎える。しかし不思議なのが、魔王になったはずなのにも関わらず、曲の1番最後は「ぼうけんのしょがきえました」の効果音で締め括られている。私の考察では、この終わり方には二通りの可能性がある。まず一つは初めに食べた飴が薬物のパターン。分身は幻覚であり、魔王になると言う一説が単純に"死"を示唆していると考えられる。そしてもう一つのパターンは、ゲームの世界に閉じ込められてしまった、というパターン。このパターンで考えると、閉じ込められたゲームの世界ごと消滅している、というかなりバッドエンドになってしまうのだが、「飴でレベルアップして楽して勝ちたい」というぬるい考えを強く否定するために、それぐらいのラストを用意したとも考えられる。"ズル"と"北京パンク"が対極にあるということ、北京パンクの在り方に強いプライドを持っているからこそ生まれた楽曲なのでは、と私は考える。 8曲目「マチのホットステーツョン」 からあげクン揚げたてです、ご一緒にいかがでしょうか。たったその一文で終わる、12秒のファストコア北京パンク。曲のタイトルの最後が「ション」ではなく「ツョン」になっているところに着目してほしい。これは、「字が汚いからションがツョンに見える」と言われてしまった、悲しい体験談から来ていると考えられる。そしてこの曲のモデル「ローソン」は「ローンン」と書き間違えることも可能。ローン、つまりこの曲はデスゲイズマツイシが借金に苦しんでいる嘆きそのもの。たった12秒だけ漏れ出た"あげたて"の弱音「一緒に(返済)いかがでしょうか」。北京パンクの美学からくる消極的さ、北京パンクの理念から来る赤裸々さ。その二つが12秒という一瞬だけ交差した、ある種どの曲よりも北京パンクが濃縮された一曲。 9曲目「君の名は。」 君の名はあるある言いたい、と数回言った後にジュゲムジュゲムを読み上げる。この時点ではまだなんのことかさっぱり分からない。そしてその後にまた「君の名はあるある言いたい」と数回言った後、「吾輩の名はデスゲイズマツイシ!」と突然叫ぶ。この時点でも全く何のことか分からない。そんな中、ふと「やっと目を覚ましたかい?」という囁き声が入る。ここで私は気づいた。デスゲイズマツイシは眠っていたのだと。夢の中で自分が誰か分からなくなり、徐々に覚醒し、自身がデスゲイズマツイシであることに気づいて起き上がった。ようやくここから『君の名は。』に繋がるのかと思いきや、その直後「この曲は、映画『君の名は』とは……全然関係 ないの♪」と言ってこの曲は終わる。もちろん関係ないはずがないのである。一度振り返ってみてほしい、この曲の中には二人の登場人物がいた。寝ていたデスゲイズマツイシ、そしてデスゲイズマツイシを起こしてあげた誰か。最大の疑問は、最後の「全然関係ないの」と宣言したのが一体どっちの人間なのか、というところだ。普通に考えればデスゲイズマツイシ本人のはずなのだが、これは実は違う。なぜなら"入れ替わっている"のだ。偽デスゲイズマツイシは、この曲以降入れ替わってしまったことを隠すために「全然 関係ないの♪」と宣言したのである。 そしてこのアルバムには、偽デスゲイズマツイシに入れ替わってから収録されたであろうシークレットトラックが2つ入っている。これは偽デスゲイズマツイシが残したメッセージであり、また本物デスゲイズマツイシがなんとか隠したトラックでもある、と私は考える。アルバムタイトル「この人を見よ」は、果たしてどちらのデスゲイズマツイシの言葉なのだろうか。 最後の"デスマッチ"まで、ぜひ耳を凝らして聴いてみてほしい。
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Moriah Plaza / Moriah Plaza
¥3,520
【収録曲】 A1. Desendereçada A2. Mais Amor A3. Te Peço A4. Estelar B1. Lagoon de Merim B2. Teu Porto B3. Samba Moosh 【発売】 2023年7月 【MV】 Lagoon de Merim→https://youtu.be/punY3yspg4o?si=Vbew1OgtTsjoz4ou Estelar→https://youtu.be/KoOo5F0ffZ8?si=fBhyheuJRklW186a イスラエルのテルアビブから入荷、ブラジル・サイケアルバム! 脈々と続くワールドミュージックの系譜、そしてその先にある現代のインディーポップの系譜、そのさらに先でサイケデリックを飲み込んで想像した独自のポップミュージック。 A面4曲目「Estelar」尺八のようなストリングス、どっしりとしたビート、ゆらりきらりと鮮やかな楽曲。多彩な音が軽やかに絡まっていく心地よさ、ささやきのような女性ボーカル。曲の押し引きが呼吸に合うというか、聴いてて1番肌に合う感じで曲が動いていきます。一筋縄ではいかないバケーションミュージック。 B面1曲目「Lagoon de Merim」アンビエントから入り、突如目の前に遊園地が現れたかのように始まるカルティックなポップメロディ。緩やかな曲調なままにずば抜けた明るさが弾ける様子は狂気的で、しかしそうとわかった上で踊らされる高揚感は最高です。 A面はサイケ・インディーポップ、B面はその要素をそのままにダンサンブルになっていきます。ずっと軽やかにおしゃれにポップにサイケデリック、深いルーツと音楽愛が背景にくっきりとあり、自然に流されていける安心感があります。いつどこでも聞きたい名盤!
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Los Mohanes / La Tumbia
¥4,200
【収録曲】 A1. La Cumbia Salió De La Tumba A2. Porro Ninja A3. Cumbia Moribunda B1. El Bembeo B2. Congas B3. El Viento Del Mar 【発売】 2024年7月 【視聴】 https://youtu.be/nwLPfTF42jc?si=Zryhjx2_7HzxP9fl https://youtu.be/E8tmiAVfMXI?si=F6RLhmITos_vBXgk フランスから入荷、Los Mohanesによるテクノ・エレクトロ音源!! ジャンルはなんとも分からず、何度聞いても楽曲の構成やメカニズムは分からず。ただただ「これはすごい」と直感で感じて仕入れたこのLP。五感に滑り込んでくるような魅力があります。ジャケットの謎のおじさん二人が本人なのかどうかはかなり気になるところ。 2曲目「Porro Ninja」シンセベースの渋いリフの上でコンガ等の打楽器が鳴り響き、謎の掛け声のような声があちこちから飛び交うような楽曲。音色はほぼ変わらず、音数や音域を繊細にコントロールし、独自の間合いで作り出される波でトランスさせてくれる曲。気づかないうちにシンセサイザーが鳴り始め、おじさんの声も増えたり減ったりします。ゆっくりゆっくりしぼむ終わり方が渋すぎてかっこいいです。 3曲目「Cumbia Moribunda」この曲を聴いた瞬間に「これは!」とすぐに仕入れました。重たくユーモラス、実験的なのに聴きやすい。はちゃめちゃに色んな音が飛び交っているのに「これなんです」と思わされるヤバいバランス感覚。こんな楽曲が聴いてみたかったと思ってしまいました。ほんとに気持ちが良い。 ぜひ一聴してみて欲しいです。すごい。
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sickufo / sickufo2
¥1,500
【収録曲】 1 pool 2 ufo 3 ride around 4 she's so blue 5 after the matsuri 6 mado 7 hyoutenka 8 iwa wo kezuru 9 daywalk 10 baby in the car 11 wehavelove 【MV】 iwa wo kezuru→https://youtu.be/ZE6joKPo0Pg?si=AuTW7YG2_aFUJWdB 【発売】 2023年9月 東京を中心に活動するサーフ・インディーロックバンド、sickufoの2ndアルバム!! スカッとしたサウンドバランスの中で波を打つような温かいギターサウンド、鬱屈と煌めきを同居させ、音と言葉で魅せて聴かせる極上の音楽。ずっと好きでずっと聴けるアルバムです。 3曲目「ride around」やや遅めなミドルテンポ、ベースとギターの跳ねた響きの上に弾かれて揺られるような心地の曲。断片的に飛んでくる歌詞「ポップキャンディ」「信号機」「螺旋階段」等が音楽の中に尾を引いて残っていって、頭の中でゆっくりリフレインするような不思議な感覚。意識が散漫な瞬間を切り抜いたかのように感じる曲です。 6曲目「mado」部屋の中から窓越しに雨を眺めながら好きな音楽を聴き、ぼーっと色々考え、ふと窓を開けてみる曲。このバンドが切り抜いて表現する"いつかの瞬間"は、僕も普段気に止めないような瞬間で、ただsickufoの曲を聞くと、知ってるような知らないような景色を思い出しては「あの瞬間めっちゃ良かったな〜」となぜか思い返してしまう感じがあります。切り抜くセンスとその瞬間を表現する音楽センス、どちらもほんとにやばくて、この曲は特にそのどっちもが光ってる曲だと思います。 8曲目「iwa wo kezuru」少しアップテンポな曲。ゆっくりとした曲が続いた後に来るこの曲の荒波感がすごい。曲単体としてももちろんカッコいい曲なのですが、アルバムの流れで聞いた時の爆発力はとんでもないです。連打されるハイハットとかき鳴らすベースの"iwa wo kezuru"感がめちゃくちゃ気持ちいいです。 どの曲もすごいです、ずっとロウで美しくて心地いい。このアルバムが聴ける時代に生まれて良かったと思ってしまうぐらいの名盤。
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北川知早 / demo3
¥800
【収録曲】 1. それだけのことさ 2. 生きてゆくには 【Lyric video】 生きてゆくには→https://youtu.be/pqvHps-UaK8?si=Onm2H46m_oMM_c-u 【発売】 2023年2月 京都を中心に活動する弾き語りアーティスト、北川知早の3rdデモ音源!! 1曲目「それだけのことさ」どっしりと響くドンシャリサウンド、ハーモニカのメロディと言葉がすんなり入ってきて心地がいいです。選択した瞬間の葛藤や後悔を全部ひっくるめて愛して前に進もう、みたいなイメージの曲。吹っ切れる瞬間の気持ちよさと切なさがすごい詰まってる曲で、聞いてるだけで身が引き締まる感じがするかっこいい曲です。 2曲目「生きてゆくには」風邪ひいた時に作ったっぽい曲。軽やかな曲調で綴る日常の気づきと、広い視野で見た自分、そこから考える自分の生き方。言葉一つ一つに力があり、人としての豊かさとミュージシャンとしての表現力のどちらもがバッチリ光ります。詩が曲に沿って少しずつ広がっていくというか、ぐるぐる回っていく頭の中と似たリズムで詩が展開していくような感じがリアルですごいです。 日々生きて感じて思って音楽にする、その過程ごと美しいと思えるような、弾き語りならではの素晴らしさが詰まった2曲です。
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FRK / GRUV!
¥2,200
【収録曲】 1. Cordobés 2. Sitges 3. Pájaro Loco 4. Hiromi 5. Jia Peng 6. Sottile 7. Sitges II 【発売】 2023年5月 【視聴】 https://youtu.be/qr5Utq8EPL8?si=x_rrZsgzLJjKBB_8 アルゼンチンから入荷、FRKによるジャズ・フュージョンロック音源!! 風通しのいいさっぱりとしたサウンドの爽快感、予測できないトリッキーな曲展開とオルタナティブなアレンジ、技術と表現力で魅せるインスト音源。 1曲目「Cordobés」リフの決めの気持ちよさ、そして個々の楽器のフリースタイルの伸び伸びした感じとがくっきりとしたコントラストを生み出しており、7分の尺でずっとワクワクさせ続けてくれます。ジャジーなセッションは部分的にサイケっぽくもなりめちゃくちゃクールです。 5曲目「Jia Peng」スペーシーな雰囲気で始まるフージョン味の強い曲。この音源の中で1番メロディが立っているキャッチーな曲な気がします。何本かある管楽器は唸り合い、タイトなビートの上で鮮やかに跳ね、すごい遠くの世界を旅行させてくれる感じがします。 行ったこともない遠くの国の音楽をゆっくり聴くの楽しいな、みたいな、音楽を聴き始めた頃の無邪気な気持ちを思い出させてくれるような、音楽愛と衝動と技術の詰まった素晴らしい音源です。
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Praed / KAF AFRIT
¥2,420
【収録曲】 1. The Sun Of Knowledge 2. Djinn Dance 3. El Hawi 4. The Spell 5. Kaf Afrit 【発売】 2023年9月 【視聴】 https://youtu.be/rtt4c-Ur14M?si=LiqAMCeZkk2kUqZJ ドイツから入荷、PRAEDのラテン・エレクトロ音源!! ブラジル音楽、ラテン、ワールドミュージック等の民族音楽的なルーツをジャンキーなダンスビートの中に落とし込んだような今音源。ジャケットのド派手さが当然のようにしっくり来る音源です。 1曲目「The Sun Of Knowledge」若干前のめりなダンスビート、生々しく壮大なトランスミュージック。洞穴の中をどんどん掘り進み、いろんな景色が開けていくようなイメージの面白い曲展開。音色とビートをほとんど変えずにグルっと変わる曲展開の幅の広さがすごくて楽しいです。 3曲目「El Hawi」インド系の弦楽器の音とコンガっぽい打楽器の音が軽やかに打ち乱れ、低域にどっしりとあるバスとベース、ぽっかりと空いた中音域の空間を楽しむような独特のドンシャリミュージック。アメーバみたいに伸び縮む曲の中でふわふわと漂えるような、気持ちのいい曲です。 かなり前衛的で、その上でダイレクトに突き刺さるダンスミュージック。小難しいことを考えてしまうその思考ごと飲み込んでくれるような一枚。
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茶封筒 / ジャイロ
¥2,000
【収録曲】 1. 高島ゴンザレス 2. お菓子は300円まで 3. ぱいぽぱいぽ 4. 空手をやればいいじゃない 5. ひきずりそうだ 6. チャミスル 7. 戻らぬが 【視聴】 お菓子は300円まで→ https://youtu.be/XyfMVFkLPcs?si=PNaSedh3TkMXT7JH 【発売】 2024年4月 東京を中心に活動するバンド、茶封筒の3rdEP!! キャッチーなメロディ、独特すぎる声、多彩なサウンドの使い分け、そして何より不思議な歌詞。個性を極限まで抽出して自分たちの音楽を追求し、日に日に濃くなっていくこのバンドの1ページを覗き見れるような音源です。 僕は少し前に茶封筒のライブを見た時、なんだかぎゅっと切なくなったことがありました。曲ごとにあるテーマはどこまでもユーモラスでありながら、その上で妄想少年のロマンチックが爆発した瞬間の輝きのような、モラトリアムをなんとなく感じます。そしてこの音源でもやはり、そのロマンチックは凄まじく輝いています。 2曲目「お菓子は300円まで」遠足に行く前のワクワク、それからちょっと大人に憧れている少年の心の機微を、端的な言葉とジャッキジャキのサウンドで表現した曲。僕は茶封筒が描く少年少女がすごく好きなので、この曲も大好きです。子供が言語化できないけど感じている”何か”をサウンドに落とし込んで音楽にしているところがさすがの表現力です。 7曲目「チャミスル」ロウテンポ、タイトで渋いダーティな曲調。絶対にチャミスルを選ばない場面でチャミスルを選んでしまっている、ダーティに憧れてダーティになれない人のお茶目さがキュートな曲。ファルセットがあんまり届いてないところも、この曲のテーマに沿っていてすごくキュンと来ます。 このバンドからしか得られない、このバンドを欲する心があります。ぜひのめり込んでみて欲しいです。
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扇芝智也 / 遥か
¥1,500
【収録曲】 1. のあのあ 2. 徒然 3. 本心 4. 街鳥 5. 落葉 【ライブ映像】 落葉→https://youtu.be/wb_yNruZag0?si=j9pAwPUZy78Xg5xA 【発売】 2024年5月 大阪を拠点に活動するアーティスト、扇芝智也の音源付き歌詞集! 3曲目の歌詞の中にある「魂が先に」という詩が、僕はこの音源の核になる言葉なのかな、と思いました。進むことと、立ち止まるゆとりを持つこと、その歩み自体を美しいと思って、じゃあ自分はどうなんだろうなと考えながらも前に進む。葛藤という言葉ほどリアルではなく、どこかぼやけている思考がそのまま音楽に落とし込まれたような音源付きの歌詞集。 ちょっと前に扇芝は僕も住んでいる「千鳥橋」という町に引っ越してきていて、この歌詞集にはその千鳥橋の写真もたくさん載っています。 1曲目「のあのあ」真っ青な空と、その空を”のあのあ”と表現したあの子のおかげで、ほんの一瞬だけ軽くなった気分を描いたような曲。静かに響くギターのリフが、静かに救われた心と青い空とにリンクしていて心地がいいです。ふと空を見上げたくなるような曲。 4曲目「街鳥」この音源の中では唯一アップテンポな曲。素早く飛んでいく鳥を、無意識に流れていったり忘れたりしてしまっていることの無情さのメタファーとして表現したような曲。悔いる時間よりも次を見る時間を大切にしていこうぜ、みたいに僕は感じました。丁寧に熱がこもった曲、かっこいいです。 それぞれの曲に捕捉みたいな感じで手書きで言葉が書かれているこの歌詞集。アーティストとしての扇芝と、公園でぼーっとしている扇芝、その両方を目の当たりにできる作品です。
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ODAGAWA SHION / 2000
¥1,000
【収録曲】 1. zip line 2. plum city 3. river noodle 4. RB 5. inago 6. syohosen 7. kalasia 8. Delicious Freezer 9. start dash drink 10. Gymkhana 11. IDO SOKUDO UP YUKI 12. imomushi 13. Asian Orb 14. Deka 15. driving park 16. LOVE×2BACK☆☆ 【Trailer】 https://youtu.be/-xYnluGvnCI?si=HWFQt_ni6_ynAzIh 【発売】 2024年5月 大阪を中心に活動するVGMトラックメイカー、ODAGAWA SHIONの4thアルバム!! 彼の1番色濃いルーツはゲーム音楽。そんな中、本来交わらないはずのパンクバンドやポップスバンド、弾き語り等とのジャンルレスなライブ経験を踏み、生まれたのはかなりフロアに密接でアグレッシブなアプローチ。豊かでバーチャルな音楽を肉体的に打ち出す、今音源は徐々に形成されていった彼ならではの音楽性がバッチリハマって生まれた、個人的には過去最高傑作だと思います。 4曲目「RB」テンポは少し早め、スロットをイメージしたエレクトロニカルな一曲。音の隙間は多く一つ一つの音の粒が浮き立つように作られており、どうしてもじっと耳を澄ませてしまうような曲。なぜかダブの香りがします、ワクワク乗れる名曲。 8曲目「Delicious Freezer」強くくっきりとしたビートの上でシンプルにメロディを聴かせる、今音源の中で彼の技術とセンスが生々しく光る曲。展開もそこまで多くはないものの、一つ一つの音の響きにこだわって作られており、真っ直ぐに持ち味を楽しめる曲です。 16曲目「LOVE×2BACK☆☆」色んなテーマで色んな曲から色んな景色に引っ張り回してくれて、1番最後に来るこの曲はアゲなハッピーハードコア。彼のちょっと渋めなセンスというか、明るくなりきらずに聴かせる感じはハッピーハードコアとの相性がすごくいいように感じます。派手すぎないというか、わかりやすくなりすぎないというか。 インスト音源なのに彼の人間性が溢れ出る名盤、ぜひ聴いてみて欲しいです。
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Padge / 人間っていいな
¥1,000
【収録曲】 1. アフター・フューネラム 2. バック・ホーム 3. プラス・マイナス・ゼロ 4. ファーリー 【ライブ映像】 https://youtu.be/zDT9lwq7Kr4?si=RatS--THw1Ob3rV4 【発売】 2024年3月 長野県の松本を拠点に活動するハードロック・ギターポップバンド、Padgeの4曲入り初音源!! ソウルフルにアグレッシブ、おしゃれさとパワーのバランス感が抜群に爽快な音源。CDと同封されている特典の数も凄まじく、熱量と愛にグッとくる一枚です。 1曲目「アフターフューネラム」サックスから入り、スカッとした音の空間とソリッドに唸る力強いサウンドとのコントラストで魅せる曲。アグレッシブにチャンスを決めきれなかった人生の瞬間を描いたような、後悔から来る今の強さを描いたような詩。観て観ぬふり、後の祭り、何度も出てくる言葉は、生活の中でふと頭によぎっては「やらなきゃだめでしょ〜」みたいな気分にさせてくれると思います。 3曲目「プラス・マイナス・ゼロ」ファンク調に進み、サビでビートが半分になってガツンと重く乗せてくれる曲です。ファンクらしい怪しさがかっこいい曲展開、どうしようもなさと強く生きる美学とが交錯するような歌詞。感想やアウトロで楽器が自由にうねるのは、ライブバンドらしさがあり楽しいです。 ロマンチックに熱く生きる、モラトリアムの詰まった音源です!
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re:lapse / re:lapseⅢ
¥1,650
【収録曲】 1. emotion 2. angelo 3. i hate you 4. perfect world 【MV】 angelo→https://youtu.be/R1MLfMtdxgw?si=P4UcB3pYgSN23vWH 【発売】 2024年3月 東京を中心に活動するシューゲイザー・ドリームポップバンド、re:lapseの3rdEP!! 女性ボーカル、爆音、硬派なシューゲイザーアルバム。イヤホン・ヘッドフォンに馴染みすぎる楽曲、バンド音源というより音像作品みたいな言い方の方がしっくり来ます。全てがずっと気持ちよくて爽快で、この楽曲一つ一つの中にどれほどの研究とロマンが詰め込まれているのか、想像もつかないです。 1曲目「emotion」ダンスビートの上でゆらゆらの爆音を聴かせたまま乗せるテクノシューゲイザー。4つ打ちのドラムがあるおかげで、弦楽器のどれもが曲の真ん中に落ち着かなくていいというか、ベースもギターもボーカルも全てにウワモノ感があって楽しいし気持ちいいです。ラストマジで気持ちいい、やばいです、絶対に体感して欲しい。 MVにもなっている2曲目「angelo」凶悪なサウンドが温かく優しい爆音メロディック曲。ギターサウンドの変化が、ジャストタイムではなく曲のパートごとにゆっくり切り替わる感じが気持ちいいです。全体を覆ったままどんどん高音に上がっていく感じ、最高に飛びます。体の血の廻りを感じるみたいな、ヨガやってる時みたいな感じの曲です。 肉体的な音とデジタルな音との境目があいまいで、その違和感に吸い込まれていくような感じ。ずっと聴いていたい体感型の音源。かなりおすすめです。
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sugarman / Tema and Home
¥2,000
【収録曲】 1. Tetsuo 2. rash life 3. mado 4. スローラーナー 5. uuuu 6. rash life(remix) 7. Romance 8. s.m.p.m 9. shimmer 10. 14(fourteen) 11. バースデー 12. scale up 【MV】 rash life→https://youtu.be/GlRL01dldto?si=JuWbd0SDdxMT6qrP 【発売】 2024年2月 仙台を中心に活動するオルタナ・インディーポップバンド、sugarmanの12曲入りフルアルバム!! インディーポップやオルタナを楽曲の主軸としつつ、電子音やボイスチェンジャーを使用し幅広く実験的に音楽を探究した今音源。持ち味の爽快なサウンドと抜けの良いボーカルのメロディは抜群によく、その上で息苦しさや葛藤を描いたようなリアルさがあるアルバムです。 MVにもなっている2曲目「rash life」電子ビートとシンセサイザーが特徴的で耳に残る曲。スカッと開いている中音域をサビで勢いよく埋める感じが気持ちいい。女性コーラスでパッと華やかになり、そのまま遠くに消え去っていくように終わっていきます。ぼーっとトランスさせてくれる不思議な安心感。 5曲目「uuuu」曲名通りにuのハミングがら始まる曲。畳み掛けるように歌が途切れず続くAメロ、単調に進んでいく曲がブレイクを挟んでから少しずつ歪み、うねったままにグンと伸びていくような曲。シューゲイザー的アプローチを必要最低限の洗練された音で鋭利に丁寧に広げ、1番最後の最後でめちゃくちゃに鳴る曲。思ってたよりも来た!とテンションが上がりました。かっこいい轟音。 12曲目「scale up」聴きたい音楽、アッパーなのに走り切らない優しいこの感じ、落ち着くバンドサウンド。低音と中音域にバランス感が抜群で、気持ちのいいメロディはふわふわと踊り、アレンジでバッサリと曲の色を派手にしていきます。素晴らしい名曲です、ずっといずれかの楽器が個性を発揮していて、自由で楽しいです。 すごく膨らんで収束する、その膨らみがカッコいいからこそ帰結が爽快、そんなアルバム。僕はすごく聴いてます、かなりおすすめしたい名盤!
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NEVERMINDシール
¥100
5cm×5cmシール デザイン:葉隠お宮
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猫を堕ろす / ポップの真髄
¥2,500
【収録曲】 1. door 2. 漫画の世界で 3. オーバークロック feat. 藤本薪 4. pop song 5. Storage of the ground 6. コミュニス feat. 鮭とばSKTB 7. 光があふれてる 8. 新しいきみへ 9. 凪の音楽 【MV】 door→https://youtu.be/-Je4kQKq7vE?si=iTmvpcQ9BMpIwmQN 【発売】 2024年2月 東京を中心に活動するエレクトロ・ニューウェーブポップスバンド、猫を堕ろすの9曲入りアルバム!! カラフルな音使い、幅の広いアレンジ、詩的なのに距離の近い言葉たち。ポップさは損なわないまま重たくパワフルに聴かせるアルバムです。 MVにもなっている1曲目「door」独特のメロディセンスが活きる女性ボーカルはこのバンドの節が効いてる感じがします。曲全体が多彩すぎるアレンジによってフワフワ浮いてる感じになっているので、パワーポップ的なアプローチのサビがガツンと映えてかっこいいです。個人的にはサビの終わりがけのコードが気持ちよくて何回も聴きたくなります、ずっと発見のありそうな名曲。 5曲目「Storage of the ground」不思議な曲。僕は英語がわからないので曲名を翻訳してみましたが、曲の詩と照らし合わせて考えてみると"冷凍保存された場所"的な意味なのかなと思います。曲調的にノリの良さはあれど、詩や展開的にかなりタイトな重たさもあり、じっくり聴いているとズドンと影を落とされた気になります。最後のサビ〜アウトロの感じに変な意識の持っていかれ方をする面白い曲。 9曲目「凪の音楽」渋いゲームミュージック的な雰囲気と温かい日本語の歌のポップさが絡まりあってドリーミーに仕上がっている曲。個人的にこのバンドの1番の好きなところである"ピュア故のシニカルさ"みたいなのが、この曲はドンピシャでハマって活きている感じがします。 攻め攻めなアルバムタイトル"ポップの真髄"、ある種リスナーへの問題提起みたいなタイトル。ポップってなんなのか、このアルバムは"猫が堕ろす"が出す一つの回答なんだと思います。時代とか境遇とかを突き抜けるため、今この瞬間に産まれるべくして生み出されたアルバム。
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ゆ〜すほすてる / 引っ越ししたい
¥2,200
☆SABOTEN MUSIC 限定購入特典ジャケットコラボシール付き☆ (商品画像2枚目) 【収録曲】 1. 春よくるな 2. バカンスの夢を見る 3. 私たちってかわいそう? 4. 犬 5. みんなのことあっと驚かせる死に方 6. かなしい 7. さま〜べいび〜 8. 夏休みがはじまらない 9. 強気にさせないで 【MV】 バカンスの夢を見る→https://youtu.be/5vPqfeoHBPw?si=Xck6wecAcvfh4Nic 【発売】 2023年12月 【特典シール】 デザイン:よいまつり 京都を拠点に活動するインディーサーフポップバンド、ゆ〜すほすてるの9曲入りフルアルバム!! 卑屈な言葉がアグレッシブでキュートに炸裂する固有の音楽性。どうしようもないことの数々、『引っ越ししたい』らしい彼らの歌を聴いて「明日もここで頑張って生きていこう」と心から思える音源です。 MVにもなっている2曲目『バカンスの夢を見る』夢の中と現実を行き来するようなサウンドと曲展開、現実逃避したいけどできない日常を描いたような曲。全部を放り投げたほんの一瞬の開放感がラストの爆音パートに詰まっていると思います。心地よくもソリッドな曲。 4曲目『犬』、「最近体調悪い、やばいぐらい無意味な週末、公園へ出かけて犬触って帰ります」から始まるナードすぎる曲。なるべくしてなってしまった虚無の休日の中、パッと何かの景色がフラッシュバックしたかのような間奏。よかったことなのか悪かったことなのか、不思議な余白。公園で犬観る度に頭の中で流れるようになりました。 9曲目「強気にさせないで」アルバムラスト、1番突き抜けてキャッチーな曲。変わっていくものに対する寂しさを言葉に、それに対してあっけらかんとしていたい気持ちが曲調に乗った感じがする曲。ちょっと笑えるぐらいの卑屈さにはキュンとくるというか、そんなにさらけ出してくれてありがとうみたいな気持ちになります。 本当に大好きなアルバム。今までのゆ〜ほすを知っている人は進化に喜ぶし、初めて知った人は真っ直ぐに好きになれると思います。絶対に聴いて欲しい名盤!
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福 / こんにちわ
¥1,000
【収録曲】 1. 悲しくなんてない 2. 自転車2 3. 君と海で 4. まる。 5. ばいばいさよなら 【発売】 2023年5月 【MV】 悲しくなんてない→https://youtu.be/PxmKAcGFrEw?si=w9BrE1ro3uYKn0vO 大阪を拠点に活動するロックンロール・ギターポップバンド、福の5曲入りミニアルバム!! スカッとした曲調、跳ねる女性ボーカル、言葉がガツンと突き抜ける爽快感。キュートさを携えて、自分の足で立って力強く進む人間の思いをしっかりと打ち放つアルバムです。 MVにもなっている1曲目「悲しくなんてない」好きだったけど解散しちゃったバンドを通して少女が成長する瞬間を描いた感じの曲。アッパーな曲調とあっけらかんとした言葉で紡がれるリアルな日常、多分音楽に触れるきっかけを描いた曲なのかな?と思います。詩を聴けば聴くほど「他にどんな言葉を歌うのだろう」と2曲目以降に入っている曲をワクワクさせてくれます。あと僕はジャスミン茶はよく飲みます。 4曲目「まる。」現代を過ごす中の、現代らしい"生きている瞬間"を描いた曲。公園でぼーっとしてる時の情報量の多い頭の中を順番に紡いで行ってくれるようで、公園にぼーっとしに行きたくなります。日々目の前にあることを大切に生きよう、妬み恨みつらみは体に良くないよ〜みたいなことを、彼女たちらしい音と言葉で丁寧に歌ってくれています。包み込むような優しさが表現としてもきっちり滲み出ていてすごく居心地がいいです。 ほんわりしている声や軽い曲調の中、渦巻くエネルギーと意志をひしひしと感じるいいアルバム、イヤホンに携えて一緒に散歩して欲しいです。
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ROSALIND / 空論上の住人
¥2,200
【収録曲】 1. 砦 2. Pacific High 3. システム 4. スパイラル飛行 5. ひと休み 6. 交差点 7. Scatter 8. 深いところで会いましょう 9. Intermission 10. カスピカ『OBS』(Bonus Track) 【MV】 Pacific High→https://youtu.be/fjGUxIM9ICQ?si=yIQLeRKYoNL9xwq1 【発売】 2018年8月 岩手県を拠点に活動する2人組バンド、ROSALINDの9thアルバム!! たまたま珍しく関西に来てライブしている日に僕は遭遇した。「なんだこのライブ!?」とちょっとずつ前に引っ張られて、気付けば1番前で大はしゃぎでライブを観ていた。感動してライブ終わりに話しかけて音源を売らせてもらうことになり、家に帰って音源を聴いてみてもう一段「なんだこの音源!?」となった。とにかく出会って欲しいと思いながらこのレビューを書いている。 2曲目「Pacific High」はMVにもなっているので、とにかく一度MVを観てみて欲しい。かっこいいような笑えるような不思議な映像。何かを真っ直ぐに伝えてくれていて、そのエネルギーはとてつもなく凄まじく、しかし何が何だか分からないまま心の中にド派手な花を置いていってくれたような。 ハードロックやロックンロールの往年のロックスターのアルバムを聴いて「かっけ〜〜」と言いながら笑っちゃう感じにすごく似ている。アルバム全編通して曲展開はギターを中心としていて壮大で、しかしルーツはとてつもなく雑食。シンセサイザーがいい感じに曲をかき乱しています。 意味を持った言葉を意思を持って放つボーカルの真摯なパワー、無邪気に展開される曲たち。どこを聴いても休む暇のない凄まじいフルアルバム、好みとか聴いてきたものとか、なんやかんやを真正面から蹴散らしてくれるような名盤です。必聴!!
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どっかん小僧 / 生殖
¥1,000
【収録曲】 1. 仏罰 2. 鉄あれい 3. プードルダンス 4. もぐら叩き 【MV】 仏罰→https://youtu.be/lZ51yAIkLl4?si=IyWLHhtOsf6wJZFP 【発売】 2023年12月 京都を拠点に活動するオルタナ・パンクバンド、どっかん小僧の4曲入り音源!! ジャケット同様、どこか愉快に壊れた爆音と叫び。耳に残るリフたちに誘われてどうしようもない言葉たちの殴打を浴びれます。静かな時間からでもがっつり引き込んでくれるアルバム。 1曲目「仏罰」重厚に重なる弦楽器、しかし音も言葉もかなりくっきりと浮き上がるサウンドバランス、1番ガッチリ刺さる音像です。メロディックに唸るリードギターが曲をグッとキャッチーに仕上げていてかなり聴きやすく、だからこそよりアバンギャルドさが際立ちます。ボーカルの叫びに合わせて音圧が上がる瞬間めちゃくちゃ気持ちいいです。 3曲目「プードルダンス」自分1人だけ踊れないダンスチューン。カラッとしたアッパーな曲調、謎のベース音が演出する居心地の悪さ。曲の展開は少なくひたすらサビが続いているような曲で、聴いているとちょっとずつ踊れなくなって、立ちすくんで暗いところに引っ張り込まれるような怖さのある曲。 パンクバンドでありながらパンクバンドの音源を逸脱している挑戦的な音源であり、しかしどこまでもどっかん小僧というバンドにとっての"日常"を作り込んだ素晴らしい音源です。
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Moon In June / ロマンと水色の街
¥2,750
【収録曲】 1. Robert 2. Fuzzzzy Motion 3. 都会のアリス 4. ロマンと水色の街 5. エレクトリックシューズ 6. Head for München 7 Overdriver 8. Slowdive (Album Ver.) 9. 閃光少女 10. 春の雪 11. スイートリトルライズ (Album Ver.) 12. 十二月の放課後 【MV】 Head for München→https://youtu.be/cKgmuy6yvbo?si=lANDsz_GDHBB0tAP 【発売】 2023年10月 東京を中心に活動するドリームポップバンド、Moon In Juneの1stフルアルバム!! オルタナティブを携えたままJ-POPへ挑戦状を叩きつけるかのような今アルバム。揺るがぬサウンド愛、追求し続けるメロディックな歌。時に荒々しく時に優しく、紡がれる夢夢しい日本語にじっと耳を澄ませる優しい時間を作ってくれるアルバムです。 2曲目「Fuzzzzy Motion」美しい爆音に惚れた瞬間を思い出させてくれるような、滑らかな曲の中で荒れ狂う音の爽快感。欲しい音をたくさんくれて、その先でさらにコードと展開でガツンと何度も広げて魅せてくれます。このバンドにしか作れない余裕と愛とが分かりやすく感じられる名曲。 MVにもなっている6曲目「Head for München」アッパーな曲調としっとりと伸びる女性ボーカルとの対比が魅力のキラーチューン。サビ終わりの強烈な間奏、そこからもう一段跳ね上がるCメロ、ガツンと落ちてゆっくり広がる更なる間奏。楽しいです、そしてずっときっちりかっこいい。毎秒好きになっていく名曲です。 9曲目「閃光少女」曲の始まりで笑ってしまうぐらいの最高にイケてるナンバガのオマージュ曲。Moon In June節が効き過ぎているメロディと水々しいサウンド、ノリノリのベースとドラムも聴いてて楽しい。眩く強烈に光る曲で、終わった瞬間がなんだか寂しくなります。アウトロがカッコ良過ぎます。 バンドやりたくなるアルバムです、音楽って楽しいしすごいんだなと思わせてくれる名盤。
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yei / Return of Pinkrobot
¥3,000
【収録曲】 1.Hello Horsetail Field,Pt.1 2.Messenger From Somewhere 3.Pink Riot 4.Smile 5.Karate Girl Forever 6.Dr.volsole's Stewed Soup 7.Is Your Head Blue or Red? 8.Vunjara Attack 9.Hello Horsetail Field,Pt.2 【MV】 Messenger From Somewhere→https://youtu.be/lWdrKluT394?si=XPNd8rervWcMvut_ 【発売】 2023年7月 大阪を中心に活動するインディーロックバンド、yeiの1stフルアルバム!! キラキラしてガチャっとしてて、しっかりと深いルーツ。遊園地に行った時の「楽しい!最高!」と「疲れたな、明日仕事嫌だな」の両方をしっかり丁寧に描いてくれているかのようなアルバムです。 MVにもなっている2曲目「Messenger From Somewhere」キャッチーなボーカルの声とメロディがくっきりと活きるドンシャリサウンド、アッパーなビートが浮きすぎないよう地に足のついたベース。壮大に聴こえるアレンジが、より小さな心の機微を描いたように感じる不思議なイメージ。大きい景色をバッと観せられて、その景色をどんどんズームしていき、そこで暮らす人に出会えた感動みたいなものを曲終わりに感じられる曲。 6曲目「Dr.volsole's Stewed Soup」全部英詞なので言葉の意味は分からないけど、女性ボーカルの囁くような歌と静かに重なっていくキーボードの音で全体を覆う曲。牧歌的で壮大な美しさと家の近所の川のような身近な美しさ、両方を兼ね備えたような情景。ところどころで入るサックスのメロディがすごく心地いいです。 The Flaming LipsのYoshimi Battles the Pink Robotsという曲に感銘を受けて作った音源だそうで、僕はThe Flaming Lipsをあんまりちゃんと聴いたことがなかったので聴いてみましたがカッコ良かったです。好きなバンドの好きなバンドを遡って聴いていくのは楽しいし色々音楽を知るきっかけにもなるし、出した音源からだけでは見えないところにある各アーティストが大事にしていることが垣間見えたりするので、そういう意味でいい風を生む一枚になってほしいなと思います。
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Limited Express (has gone?) / Tell Your Story
¥3,080
【収録曲】 1. ラーメンライス 2. EDUCATION 3. INVITATION 4. I don’t TRUST 5. R.I.P, friends 6. WORLD’S END 7. Discommunication 8. PICK A FIGHT 9. HATER 10. BET ON ME 11. No more ステートメント 12. TOP OF THE TOP 【MV】 ラーメンライス→https://youtu.be/SsFh_Wkt0sA?si=5Sbfq6lv-FnKeP8G 【発売】 2023年8月 東京を拠点に活動するオルタナ・パンクバンド、Limited Express (has gone?)の12曲入りフルアルバム!! 多彩でド派手なアレンジ、軽やかな曲調で重くのしかかる確かなオルタナティブパンクバンド。自らの圧倒的な可能性をリスナーに叩きつけるかのようなアルバムです。 MVにもなっている1曲目「ラーメンライス」ギターの単音を聴かせながら、変則的なビートと舞うように乗るボーカル。リズミカルにボーカルが乗っかるサビからのメロディックになるコーラスがめちゃくちゃ気持ちいいです。MVを撮影したラーメン屋さんが、コラボ的な感じでMV公開してから期間限定でライスが安くなっていたらしいです。 8曲目「PICK A FIGHT」単音ギターのリフ、ダンスビートとコンガ(?)のポコポコした打楽器で愉快に踊らせ、後半で一気にツービートと轟音で畳み掛ける曲。伏線のようにギターとサックスが睨みを効かせてる感じがめちゃかっこいいです。理不尽をわざとちょっとバカになって吹き飛ばすイメージに聴こえました、好きな曲です。 曲によってカラーは変わりつつも、一貫して楽しく激しくどこか壮大。跳ねる言葉に何度もドキッとさせられるようなアルバム。
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イワクニマユ / 私手記
¥1,000
【収録曲】 1. time signal 2. 嘘ついた 3. 鳥 4. 坊や 5. 嵐の夜に 【視聴】 time signal→https://youtu.be/Hir_WnW_YyU?si=_QzByU_DhH5gkq4Q 坊や→https://youtu.be/d22G6P-eNcI?si=7AlO11xwHRV4cdrD 【発売】 2023年3月 大阪を中心に活動するピアノ弾き語りアーティスト、イワクニマユの5曲入り音源! イワクニさんが見た景色、そしてその瞬間に感じた感情が音にこもっていて、イワクニさんの気持ちになって同じ景色を観れるような感じ。とてつもなく深くトリップさせてくれるピアノの弾き語り音源。 1曲目「time signal」ピアノとアラーム音から始まる朝の曲。僕はこの曲は、自分の意志や葛藤を整理し、改めて自分の中で決意を固めてリスタートする時の強い曲だと思いました。何度も向き合っては意志を持って表現する、人柄と美学にきっちり打ち抜かれる曲。 4曲目「坊や」お母さんがいなくなった少年とお父さんの静かな葛藤と静かなやりとりを言葉で淡々と描いた曲。物語の中の感情の機微が、言葉以上に声の出し方とピアノで繊細に描かれていて、曲終わりにしんと響く余韻があまりに切なくてクラッと来ます。すごい曲。 個人的にライブで何度も聴いた曲が入っていて、嬉しくていっぱい聴いています。"自分が生きている"という事実がちょっとだけ愛おしくなれるような、すごく丁寧で美しくて、色んな人に聴いてほしい音源です。